SIDE✖SIDE「対話」

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女は、まだ気づいていない‥ セピア色の空が、少しずつ、黒色に侵食され始めている事に‥。 「聞きたいに決まってるでしょ。あの人は、何も残さないで、私の前からいなくなったんだから。」 女は語気を強めて、そう言った。 (何も言わずにですか‥) 声は、ため息混じりにつぶやくように言った。 「そうでしょ!残された人間の気持ちなんて、残した人間にはわからない!」 女は、叫ぶように言った。 (お前‥いや、あなたは‥お前‥) 何かを言いかけた声に異変が見え始めている。明らかに、言葉が支離滅裂になっていた。 「何?」 女も、その異変に気づき始めていた。 (失礼しました。少し頭痛に襲われてしまいました。さぁ〜あなたの話をしましょう。) 声は、冷静さを取り戻して、女にそう言った。 「もう、いいわ。私は、これから死ぬの!もう開放して!」 明らかに女の態度が変化した。 次の瞬間、セピア色の空は、真暗になり、辺りは黒一色に染った。 「えっ‥」 女に動揺が見える. 真っ暗な中でもわかるほどのノイズが、辺りに見え始める。 不安の中、女は手探りで辺りを確認する。 「これから死ぬ人間が、何を動揺して、怖がっているんだ?つくづく、ブレブレで中途半端な奴」 真後ろから、女に向かって、辛辣な言葉が投げかけられる。 女は手探りで、後ろを振り返る‥が、何も見えてはいない。 「いや‥」 女は、辺りに向かって、警戒しながら、その場に座り込んだ。 辺りが、少しずつ見え始めてきた。 「ようやく見え始めたか?」 声のする方へ、女がゆっくりと視線を向けると、人らしい気配が感じ取れた。
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