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SIDE ピエロ
時計のパフォーマンスを終えた男は、ゆっくりと、公衆トイレの共有スペースへと入っていった。
そこで、自分の顔を鏡で映しながら、ゆっくりと、白塗りのペイントを洗い落としていく。
「何度見ても、この顔は好きになれないな。もっと、違う顔だったら、お母さんは、僕を愛してくれたのかな‥」
男は、鏡の自分に向かって、悲しみのある表情で問いかける。
「応えてくれる訳ないな‥」
ため息をつきながら、右の頬にある、大きな傷を撫でる。
白塗りのペイントを洗い流し終わり、男は陽射しの強い空を見上げながら、外に出る。
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