笑わないピエロ〜「Ｊ」SIDEＤ〜

SIDE ベンチの女性

今日を、私の最後の日にしよう‥でも、怖い‥お酒でも買ってきて、勢いでもつけよう。

女は、ベンチから立ち上がり、ゆっくりと近くにあるコンビニへと向かった。

その向こうでは、笑顔を一つも見せないピエロが、小さい女のコに声をかけられても、笑顔を見せる事なく、パフォーマンスを続けていた。

十分ほどして、女性はコンビニの買い物袋をぶら下げて戻ってきた。

「やだ、まだ、あのピエロいたの‥」

ベンチに座った女性は、怪訝そうな顔で、ピエロの方を見た。

そして、ビニール袋から、酎ハイを取り出して一気に飲み干した。

酔いが回ったのか、女性は、ウトウトしながら、少しだけ目を閉じて、眠りについた。

時間にしたら、ほんの数十分‥目を覚ますと、公園からは人が消えて、ピエロの姿もなくなっていた。