SIDE✖SIDE「対話」

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(なるほど‥今の家族の幸せな時間は、あなたにとっては、偽りの日々だったと言いたいのですね。) 声は、女に対して問いかける。 「幸せを感じていた‥」 女は、声に対して答える。 (矛盾してませんか?それならば、あなたが死を選ぶ理由が見当たらない。) 声は、女の答えに、疑問を投げかける。 「幸せを感じていた‥それは間違いじゃないの。でも、そう思えば思うほど、私は、毎晩の様に、彼に対しての罪悪感に襲われる‥」 確かに、女は、彼の死を乗り越えた先に、幸せを見つけて、確かに、幸せになっていた。 しかし、その幸せは、女が自分で乗り越えて手にしたものではなく、他力本願に生きてきて、たまたま旦那に巡り合い、たまたま、手にしたものなのだろう。 だから、手にした幸せに疑問を持ち、常に、死んだ彼とのあり得ない未来との比較を繰り返してきた結果が、今回の行動に繋がったのだろう。 「わかりました‥では、あなたの忘れられない彼は、どうして亡くなったのでしょうか?」 声は、女に、新しい疑問を投げかけた。 「彼は、紛争地の子供たちに学びを教えに行ったきり、私の元には帰ってこなかった。」 女はセピア色に染まる空を見上げながら、遠い目をして話しだした。
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