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何分経っただろうか。
ずっと困ったようにしていた相手は、静かに立ち上がる。
机を挟んで僕の向かいに立つと、そっと僕の手を優しく握りこう言った。
「悠斗、ありがとう。君の気持ち、本当に嬉しい。
でも……僕の気持ちは変わらない。」
「!!」
それから、ゆっくりと離すと背を向けて部屋を出て行った。
「……う、うぅ……!なんで、なんでだよ……幸也……!!」
幸也の言葉が心に響き渡る。
あんなに、あんなに側にいたのは僕だったのにどうして他の人なんか好きになったんだ!
馬鹿、バカ幸也!!
嗚咽とともにそんな感情がどんどんあふれ出てくる。
さっきまで握られていた手が熱い。
スポーツマンらしいごつごつとした感覚が幸也を感じられた瞬間だったのに。
いつもなら嬉しすぎるのに、今はただただこのぬくもりを消し去りたい。
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