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僕は幸也を見る。
幸也も僕を見る。
そして、登場した僕に優しく微笑みかけると、手を優しく取って見つめ合った。
「……っ」
ち、近い…。
なんでだろう。
リハーサルの時はこんなにも顔を近づけることが無かったのに……。
ドキドキしてしまう。
「あ、あの、幸也」
「しっ、音楽が始まるよ」
舞台の照明が少し暗くなり、二人のスポットライトが一層強くなる。
静かな音楽が流れ始め、僕たちはゆっくりと踊り出す。
「大丈夫、僕を信じて」と幸也が耳元でささやく。
僕は彼の言葉に頷き、彼のリードに身を任せた。
ステップが自然と合い、まるで息を合わせたかのように動く。
「緊張してる?」
と彼が微笑みながら聞いてくる。
「少し。でも、君と一緒なら大丈夫」
と僕は答えた。
幸也はさらに優しく微笑み、その手を少し強く握り直した。
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