欲望の歌

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 私は、今まで罪というものを犯したことがない。いや、そんな大げさに言うまでもなく、人に迷惑をかけたことが皆無なのである。自分という存在は、品行方正で清廉潔白であるといえると思っている。 「お前、本当につまらねぇよな。パチンコもやらねぇし。女と付き合ったことすらない」 私と同じ中学だった、金髪のチンピラが久しぶりに私を見つけるとこんな感じに絡んできた。 「私は、そんな不純なことはしない」 「高橋はマジメすぎるんだよ。少しは遊べよ……」 「ふん……」 悪友の反町がそういったが、どこか私を心配しているようで、意外だった。 「では、遊ぼうか。反町君」 「反町でいいよ。カラオケでも行こうぜ」 「カラオケか。小学生以来だな」 「高橋くんはカラオケ行かないんだなぁ。こいつ、なに歌うんだろう」
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