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俺は慌てて、でも慎重に多目的ルームを覗く。
俺に斜め後ろを見せる形で作業している。
自分のパソコンと、俺のパソコンをケーブルで繋ぎ、操作しているのは前者の方だ。
俺はできるだけ音を立てないように間仕切りを開け、応接室から多目的ルームに入って行った。
「月城」
月城は肩をびくつかせた。
集中していたのか、まさか人が潜んでいると思いもしなかったのか、間仕切りを開けても声をかけるまでは気づかなかったらしい。
ブラウンのロングコートにマキシ丈のスカート。コートの下は昼間と同じ格好だった。
「何してるんだ。それは俺のパソコンだぞ」
ゆっくり振り向くと俺を降り仰ぎ、大きな目を限界まで開いた。
「盗聴器を仕掛けたのも君だろ。会話を聞いてここに俺のパソコンがあると知った。外部からのアクセスで失敗したから、本体パソコンから情報を流出させるしかないと判断したわけだ」
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