◇◇村上健司◇◇ 対峙

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「俺の高校時代の仲間が電報堂にいるんだ。月城の名刺にあったSNS広告事業課は俺たちが再会したスタバの時点ですでになかった。ギリギリな。だから月城のダウンジャケットに入っていたあの大量の名刺発注は、おかしいんだ」 「……そうなんだ……」  月城は視線を伏せて呟いた。 「その(ほころ)びから疑い始めて、ほぼ決定だな、と確信したのが、この間月城が手伝った浅見さんの担当案件のコードだ。周知の実力であんなコード作成ができるわけがない。親切が命取りになったな」 「…………」 「なんの目的でこんなことしたんだ? 月城。お前、こんな奴じゃなかったよな」 「何それ? ああ……。なんか最初に会った時、変なこと言ってたよね? 同じ小学校のクラスメイトだっけ? そんなはずはないよね? 歳が違うもん。まああの時はこの人なんか勘違いしてるんだろうな、って話合わせておいたけど。クラスメイトだと勘違いしたままの方が採用に有利だと判断したんだけど、態度に出ちゃって失敗したな、と思ってたよ」 「月城、本当に覚えてないのかよ? 思い出さないのかよ」
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