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用意してきた小学校の卒業アルバムを、通勤用のリュックから引っ張り出す。
中高の卒アルも持ってきた方がいいかと思ったけど、全部は重すぎたからその時代のものはいくつかピックアップして挟んである。
長テーブルの前に陣取り、そこに小学校の卒業アルバムの俺たちのクラス、六年二組のページを広げた。
直立不動でドア付近を見つめていた月城の全身が、硬直している。興味を示している。
「これが月城だよ。六年の最後は学級委員だった。このアルバムに俺もいるんだ」
月城が思わず、我慢できず、という体でこっちを向いた。
「このページを見れば名前もちゃんと載ってるよ」
月城は卒業時、学級委員だったけど、それは受験をする生徒に負担をかけないためだった。
今まで学級委員をやっていたような生徒は、中学受験組が多かったから。
学級委員決めの時のことをよく覚えている。
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