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月城と仲良しだった女子の名前があがったけれど、その子は受験をするため、多くの時間を割かれる学級委員をやりたくなかった。
下を向いて困っているその子の横で、月城が、自分がやります、と、おそるおそる手を上げた。
その顔には自分でみんなが認めてくれるのだろうか、という不安が鎮座していた。
なに、こいつ。と驚いた覚えがある。
恥をかくかもしれない。怖い。
でも受験で時間のない友達を学級委員にはしたくない。
惚れていたにも関わらず、俺はたぶん、あの時、もう一度惚れた。そうやって俺は何度も何度も何度も月城一颯に惚れてきた。
中心にいるようで、微妙に中心からずれているような、そんな立ち位置の女の子だった。
いわゆる一軍女子ではなかったかもしれない。
でも、一軍女子とも臆さず話すし、おとなしいクラスメイトとも仲がいい。仲良しグループがあるにはあったけど、ウマがあう子とは男女関わらず個人的に交流する。
がっちりグループを組む女子が多い中で、独自の立ち位置を保っているような女の子だった。
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