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日本の生徒、学生のピースサインは、警察における敬礼かなんかなのか? 俺含め、どいつもこいつもワンパターンもいいところだ。
「これがうちのクラス、六年二組のメンバーだよ」
ひとりひとりが写る個別のクラス写真のページを開いた。
前傾姿勢でいた俺は、ちらりと月城の表情を上目遣いで確認する。表情がない。
「この子が月城。こっちが俺だ」
ひとりひとりが写る写真の下には名前が記されている。月城一颯。村上健司。
「俺とこのアルバムに写る人物が同じだって、もう外見じゃわかんないかもな? 中学、高校の写真も持ってきて良かったわ。大学時代のは、プリントアウトしたのがほとんどない。それは成人式の写真しかなかったけど、俺のスマホには山ほど入ってるから。そのくらいになれば面影は残ってんだろ」
俺と同姓同名の男を憎んでいる、なんて事態は想像もしていなかったけど、本当に持ってきて良かった。
「これが中学一年。二年。三年。高校の入学式。高二、高三。卒業式だ」
俺は小学校から大学時代に至るまでの変遷を、長テーブルの上に並べていった」
大学時代の写真はほぼスマホの中で、あるのは成人式の時のものくらいだ。
その頃の俺はまだ髪が金髪で雰囲気も今よりずっとチャラい。
今、月城の目の前にいる男と、同一人物に見えるだろうか。
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