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「会社の女の子が探してくれたんです。うちの会社かなり自由なんすよ。まだ創業数年のベンチャー企業で」
「そうなんですね。今時の会社って感じですね。IT系ですか」
「じゃないけど。そっち方面にも力入れたくて、そっちに強い人をキャリア採用したいんです。優秀な人に来てもらいたくて」
「なるほど。で、一緒に働きたくなる上司をアピールしたいと」
「そんな感じです」
もう全部ぶっちゃけてこちら側のコンセプトを伝えた。人気の人なら希望に沿った形の〝かっこいい〟にしてくれるはずだ。
担当美容師さんに導かれフロアに出る。
カット台が十以上並んでいる。それぞれの椅子の前に置かれた白塗り枠の鏡は、テイストは同じだが大きさも形もそれぞれ違う。
ここでもおしゃれ炸裂。うちのオフィスに取り入れたらどうだ?
カットだけに二時間をかけた。
「おおー」
ブローまで終わり、美容師さんが背後に立って大きな手鏡を横に広げて見せてくれた時には、そうため息が漏れた。
「イケメン二割り増しでしょ?」
俺より年上だろう美容師さんがにっこり笑う。
「いやいや。五割り増しでしょ!」
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