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「……そう」
ここまで話してくれるってことは、俺のことはもう疑っていない? 俺の話を信じるまではいかなくても、話を聞く余地があると、判断してくれたってことなのか?
「免許も見る? たぶんだけど未成年無免許運転で人身事故を起こしたなら、年齢的にもゴールド免許は無理じゃない? 偽造じゃない。なんならこの免許持って免許センターに行こうよ」
月城は黙って俯いていた。
答えない月城に構わず、財布の中に入っている免許証を出してきて、彼女の方に差し出す。
月城は一応、視線を免許証の上に落とした。
「俺の事、信用してくれる気になった?」
「わかんない……。頭の中がぐちゃぐちゃで。だってここ数年、ずっとCanalsの副社長、村上健司が両親の仇だと思ってた」
「つまり、今回のCanals社員の個人情報を流出させようとしたのは、俺への復讐だったって事? たまたま、どこかで俺の名前を目にした。両親を死亡させた被告の名前と同じ。歳も近い。で、俺を窮地に陥れようとした? 月城ひとりの判断?」
「……」
「違うよな。さっき叔父さん、って言ったもんな。対峙することがもしあったら、年齢は偽ってるから、その証拠として偽装の身分証明書を見せられる、なんて言ってたもんな。誰かに指示されてるんだろ? 俺が両親の仇だって入れ知恵されたんだろ?」
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