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月城の家は、世田谷にある俺の実家の近くだ。あのあたりで、家屋が全焼するような大火事があったなんて話は聞いたことがない。
「月城、その目で見たの?」
「事故で足の骨を折って、入院中のことだよ。実際は見てない。新聞記事で読んだだけ。叔父さんが写真を何枚も撮ってきてくれた。月城、って表札は燃え残って地面に落ちてたよ。その後ひとりで行ったけど、全焼だったからもう片付けられて更地になってた」
「それ、場所はどこ?」
「江戸川区の……」
「見て。月城」
俺は卒アルの最終ページを開いた。そこには俺たちが卒業した学校の住所が記載されている。
「え……。世田谷?」
「そう。月城は世田谷の小学校で俺とクラスメイトだった。いくらなんでも公立の小学校で、江戸川区からここまで通うのは現実的じゃないだろ?」
「え、待って。どういうこと?」
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