◇◇村上健司◇◇ 対峙

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「そこに行けば家族の思い出が眠ってる」 「行くって……。夜中だよ」 「不法侵入だ。夜の方が都合がいいだろ」 「……」 「てか、夜中じゃなきゃ入れないよ」 「わかった」 「あ、でも月城を待ってる人がいるの? 妹さんは?」 「一緒に暮らしてるけど、今は喉が腫れて入院してる。入退院の繰り返しなの。だから今はひとり」 「そっか」 「確かめたい」  ぼそりと落とされた呟きだったのに、底知れない決意を感じた。 彼女も〝叔父さん〟を完全には信じきれていなかったんじゃないかと思えた。 月城と俺は手早く持ってきた荷物をまとめ、外に出る用意をする。俺はちゃんと自分のパソコンを通勤用のリュックに詰めた。 「あ、ちょっと待ってて」  月城をおいて隣の応接室に入り、思いついたものをリュックに収める。インテリア目的のリビングボードが置いてあり、そこはちょっとした備品置き場だ。 「お待たせ」
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