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「そこに行けば家族の思い出が眠ってる」
「行くって……。夜中だよ」
「不法侵入だ。夜の方が都合がいいだろ」
「……」
「てか、夜中じゃなきゃ入れないよ」
「わかった」
「あ、でも月城を待ってる人がいるの? 妹さんは?」
「一緒に暮らしてるけど、今は喉が腫れて入院してる。入退院の繰り返しなの。だから今はひとり」
「そっか」
「確かめたい」
ぼそりと落とされた呟きだったのに、底知れない決意を感じた。
彼女も〝叔父さん〟を完全には信じきれていなかったんじゃないかと思えた。
月城と俺は手早く持ってきた荷物をまとめ、外に出る用意をする。俺はちゃんと自分のパソコンを通勤用のリュックに詰めた。
「あ、ちょっと待ってて」
月城をおいて隣の応接室に入り、思いついたものをリュックに収める。インテリア目的のリビングボードが置いてあり、そこはちょっとした備品置き場だ。
「お待たせ」
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