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リビングの窓のクレセント錠の周りを囲むようにガムテープを貼る。
次にガムテープを貼った内側に、今拾ってきた煉瓦を思い切り打ち下ろす。
リビングの窓ガラスは一発で割れた。こうするとガムテープの内側のガラスだけが割れ、あたりに飛び散らない。
少ない力ですんで、周囲に気づかれにくい。
「悪いな、壊しちゃって」
「え? あ……うん」
ボケた返答だ。自分の家って感覚がないんだろうな。
住宅が密集しているわけでもないし、背丈よりも高い雑草で俺たちの姿は通りから完全に隠されている。
まあ、夜中の三時の住宅街に人通りは皆無だ。
でもここも不法侵入なわけで、大きな音を聞きつけた住人に通報でもされたら面倒だった。
割れた箇所から手を差し込み、クレセント錠を回す。リビングのガラス窓をスライドさせると、軋みながらも開いた。
靴を脱いでリビングに上がる。
「ほら。ガラスがあるから気をつけてな」
月城の方に手を差し出しながら、慎重に足をスライドさせ、上り口からガラス片を避ける。
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