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廊下には四つの扉があった。間取りとしては4LDKってことだ。
「どの扉か、わかる?」
「……わからない」
「じゃあ順番に開けていくか」
「わ! わたしが先に入るね!」
「はいはい」
ここでもその主張だ。月城は一番近くにあった扉を開け、素早く中に入って扉を閉めた。俺は廊下で待っている。
「ええーっ」
中から驚愕と悲鳴が入り混じったような声が聞こえる。
「月城?」
返事がない。
「入るぞ」
「……うん」
かすかにそう聞こえた。
俺は扉を開けて中に入り、息を飲んだ。
そこは両親の寝室のようだ。シングルベッドが二つ置かれ、その足元にタンスが二つ並んでいる。
ひとつは七段の引き出しだけのタンス。
もうひとつは上が大きなスペースの観音開き、下が一段だけ引き出しになっているタンスだ。
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