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同じ種類の木材を使っている。おそらく婚礼ダンスと呼ばれるものだ。そのほかには膝くらいの高さのローボードがあり、小さなテレビが載っている。
月城が声を上げた理由は、部屋が不自然な乱れ方をしているからだろう。
まず、ベッドのマットレスが二つとも一目でわかるほどずれている。
タンスも微妙に開いている段がいくつかあり、クローゼットに至っては服が全部下に落ちていた。
「ママもパパも、こんな部屋の使い方する人じゃなかった……と思う」
「明らかに何かを探した跡だろ」
分厚いマットレスの端を持ち上げてみると、ずっしりとした重みがある。大きさもあるしひとりで動かすのはかなり難しいだろう。
探し物のためにベッドからどかしたものの、完全に元に戻すことは諦めた、って感じだ。
次に俺はローボードに近づき、天板に見入った。
誰かが触った指の跡が残っている。
埃の上から触ったせいで、指の跡がくっきりつき、そこにまた新たな埃が積もって、それが濃淡を作っているのだ。
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