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叫び、しゃくりあげ、最後にはたまらずに声を上げて泣き伏した。
俺はこんなに悲しい泣き声を聞いたことはない。胸がはっきりとわかるほど強く痛む。
助けたい。救いたい。この子を。
……またあの頃のような笑顔が見たい。
「思い出せそう……って、こと?」
月城はがくりと首を折るような頷き方をした。
「それに、どういうことか知りたい。何を探してこんな状態なの? ここを荒らしたのは叔父さんってこと? 空き巣じゃ……ないよね?」
「玄関に鍵がかかってたことを考えて、その可能性は低いだろ。まだ家の中、全部見てないけど、一番入りやすいのがリビングだろうけど、外から俺みたいに無理に開けた形跡もない」
「……でもここに入れた。鍵を持ってたってことだよね?」
「そうだな」
〝叔父さん〟っていったら両親どちらかの兄弟だろうか? いくら兄弟でも鍵を預かってもらっていたとは考えにくい。
だったら月城の親の遺品か……記憶のない月城の持ち物の中にこの家の鍵があったのだ。
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