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そりゃ兄弟の子が残されたのなら、正式に後見人になるための書類が必要かもしれない。
俺はスマホを出し、〝叔父さん〟が後見人になるために必要な書類を調べた。
後見開始届出書。
被後見人の身分証明書。
後見開始の許可決定書。
後見人に関する誓約書。
この家のものを空き巣まがいの探し方をしなくても、月城と妹の身分証明書があれば後見人にはなれそうだ。
保険証くらいなら、ベッドのマットレスをひっくり返さなきゃならないような場所には置いていないだろう。
けど、いきなり子供が二人も増えたら金銭的にだって大変なのはわかる。探していたのはおそらく、生命保険のようなもの?
でも、そういうものの探し方がこれか?
これはあまりにもひどい。亡くなった人に対しての愛情をまるで感じられない。
一番ひどいのは記憶喪失になっている月城とおそらく妹にも、家が焼失した、と教え込んだことだ。
妹の記憶はある。
来て確かめようと思えばできたのかもしれないけど、うつ病なら、気力を失っていて叔父さんの言葉を鵜呑みにしてもおかしくはない。
きっと妹には、家は燃えた、としか伝えていないんだろう。
月城みたいに新聞記事や捏造した現場写真を見せられた訳じゃない。
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