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「ここまでの事実を突きつけられたら、さすがに自分が間違ってたってわかる」
月城は頭を上げない。
「まず頭を上げようか。それじゃ話もできない」
頭を上げるのを待ったけれど、月城は一向にそうしようとしない。仕方なく俺は彼女の両肩を持って顔を上げさせた。ひどい泣き顔だけど瞳の輝きは強い。
「それって俺の嫌疑は晴れたってこと? 俺は月城の親を事故に遭わせた人間じゃないって信じてくれたってこと?」
「はい。だって……焼けたって言われてた自宅がこうして実在してて、しかもそこに連れてきてくれたのは、小学校が同じで近所だったって証拠だし。おぼろにだけど、卒アルにも見覚えがあるような気が……してきてる」
「マジでか。それはもう……。ほんとありがたい」
「まだ調べたいの。自分の部屋とか。でももうこんな時間だし、その……ふ……副社長をつき合わせるのはーー」
「あー一個お願いしてもいい?」
「何?」
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