◇◇村上健司◇◇ 対峙

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「そうだね。それもちゃんと話す」 「じゃ、行ってきなよ」 「……うん」  月城は歩を進めようとしない。 「はいはい。Gが怖いんだよね! 一緒に行こう」 「あっ! わたしが最初に入るね! いいって言うまで入ってきちゃダメね!」  月城は俺に背を向け、歩き出した。 「はいはい、承知しました。月姫さま!」  おもむろに立ち止まるから、俺はつんのめって月城の背に突っ込みそうになった。  月城はけっこうなスピードで振り返る。サラサラしたボブが宙に浮いて、スマホの光の中でしなやかな半円の軌跡を作った。 「なんだよ」  闇の中で濡れたように光る双眸(そうぼう)が、強く俺の顔を見据えてくる。 「穴が開くって。そんなに見られると」 「ごめん……」
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