◇◇月城一颯◇◇ 覚醒

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「ちょっと待ってて。たぶんちょっと」 「了解」  めちゃくちゃ汚れていたら恥ずかしい。今の自分の部屋から想像するに、そこまではすごいことにはなってないと……。 「えー……入って。村上くん」 「おう」 めちゃくちゃではないけど、明らかに探し物をされた形跡がある。要はママたちの部屋と同じだ。 「このベッドのマットレスのずれ具合といい、似てるな。両親の部屋と」 「うん」 部屋にある家具は、机、本棚、ベッドのみだ。部屋は大きくない。 カビ臭い空気に混じって強烈に押し寄せる懐かしい匂いに、胸が苦しくなる。ここは、間違いなくわたしの部屋だ。  机の引き出しを開けてみる。 いじられたのか最初からこうだったのか、整理されてはいないけれど、荒らされたというほどでもない。 パパとママの部屋ほど力を入れて探していないんだろう。
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