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振り向くと、村上くんは眉間に皺を寄せて考えている。
K大。月姫さま……。
つながりそうでつながらない記憶。
頭が万力で締め付けられるようにキリキリと軋む。ふらついて開けっぱなしの引き出しの上に、怪我をした方の手をついてしまい、痛みで現実に引き戻される。
「月城!」
わたしは開けっぱなしの引き出しの上に突っ伏しそうになったらしい。
目の前、三センチのところにあるノート類の中で、強烈にわたしの意識を惹きつけるものがあった。一番下に少しだけ見えている青い色の書籍のような装丁だ。
起き上がるのと同時に、わたしはそれを引っ張り出した。一番下に入っていたから、上に載っていたノート類がバラバラと床に落ちた。
村上くんはそれを拾いながら口を開いた。
「月城、ちょっと休もう。昼間っから動きっぱなし、神経使いっぱなしじゃんか」
「……うん。それは村上くんも」
「そう。月城のせいでな」
「すみません」
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