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初めて感じる不可解な現象に戸惑いながらも、楽しく、毎日が幸せだった。
彼の周りにはいつも男女が群れ、つねに笑いの輪の中にいる。
喧嘩友達でありながら、実はわたしには彼がすさまじく格好良く見えていて、時には眩しくて正視できないほどだった。
小学六年にしては体が大きく、男子なんだなーと、何かの拍子に感じる時は胸の高鳴りが止まらない。
わたしの自惚れかもしれないけれど、その男子はよくわたしをからかい、かまう。
そして、言い合いになり、最後には二人で大笑いするのが小学校生活の日常だ。
彼のいる教室には光りが満ち、この時間が永遠に続くものだと、どこかで信じていた。
彼がわたしたちの学区の中学に行かないだろうことは、同じクラスになった五年生の時にわかっていたにも関わらず……。
中学受験をするらしい。それならわたしも受験をしようか、同じ学校に行きたいと願ったこともあったけど、それは無理なのだと知ってしまった。
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