◇◇月城一颯◇◇ 覚醒

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 「月城月城。ついたぞ」 「うーん……どこに?」 「月城が住所言わないから、仕方なく俺の家に連れてきたの」 「悪いやつだなー。お持ち帰り?」 「違うよっ! そうされたいのか、お前はっ!」  思わずカッときたような強めの声に、わたしは目を覚ました……らしい。 「えっ?」 わたしは目を開けた……ようだ。頭が朦朧(もうろう)としていて、今の状況がよく理解できない。わたしは車の後部座席から身を起こした。 「あれっ?」 「やっと起きたかー。ほら、今度はちゃんと歩いてくれよ」 「ここ、どこ?」 「だから俺のマンション!」 「村上……くん。いや……副社長だ」 「プライベートの時は村上くんでいいって」 「どうしてプライベートでこうなって……?」  そこで急速に脳が覚醒を始める。 四十二階の多目的ルームからわたしが昔住んでいた家に連れていかれ、そこで知ったあまりにも衝撃的な事実から逃れようと、空きっ腹にお酒を一気飲みしたところまでが、ムービーのように脳内展開された。 「えっ? わたし寝ちゃったの?」
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