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「月城月城。ついたぞ」
「うーん……どこに?」
「月城が住所言わないから、仕方なく俺の家に連れてきたの」
「悪いやつだなー。お持ち帰り?」
「違うよっ! そうされたいのか、お前はっ!」
思わずカッときたような強めの声に、わたしは目を覚ました……らしい。
「えっ?」
わたしは目を開けた……ようだ。頭が朦朧としていて、今の状況がよく理解できない。わたしは車の後部座席から身を起こした。
「あれっ?」
「やっと起きたかー。ほら、今度はちゃんと歩いてくれよ」
「ここ、どこ?」
「だから俺のマンション!」
「村上……くん。いや……副社長だ」
「プライベートの時は村上くんでいいって」
「どうしてプライベートでこうなって……?」
そこで急速に脳が覚醒を始める。
四十二階の多目的ルームからわたしが昔住んでいた家に連れていかれ、そこで知ったあまりにも衝撃的な事実から逃れようと、空きっ腹にお酒を一気飲みしたところまでが、ムービーのように脳内展開された。
「えっ? わたし寝ちゃったの?」
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