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「ちょっと待って」
「ふぇ?」
そこでやっと目を覚ましたらしい女の子が〝意味不明〟を表す声を上げる。
「お兄、これ、どゆことなの?」
「いや、これには深いわけが」
わたしのドアノブを掴む手が止まった。
お兄?
「やだ! お兄お持ち帰りなんて最低なことしないよね? 彼女なの?」
「いや、まだ彼女じゃ……」
「まだ?」
「……い、いや」
わたしは、珍しくしどろもどろになっている村上くんと、超絶に可愛い女の子を見比べた。
兄妹にしては似ているところがない。
スタイリッシュと荒々しさが共存する、ちょっと稀な雰囲気を持つ村上くんに対して、この少女はバービー人形のように、どこまでも可愛らしい。
「え、妹さん? 彼女かと……」
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