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リビングの広い、大型1LDKのようだ。村上くんはソファのひとつに、クッションや毛布を整えて、すでに就寝の用意をしている。
「悪いけどマジで限界。月城は向こうのベッド使えよ。夕凪が寝たあとで、俺直接じゃないからいいよな? もうシーツとか替えんの面倒で……でもヤだったらクローゼットに洗い替えが入ってるから勝手に使って……」
すっかり横になって毛布を被り、今にも寝息を立てそうだった。
わたしは荒れ果てた実家でも、車の中でも寝かせてもらったけど、村上くんは、きっと三十時間ぶりくらいの睡眠のはずだ。
主が帰ってきたのがよほど嬉しいのか、ミケとチャピが村上くんの顔の両横で丸くなり始める。
「じゃあ、お言葉に甘えて、わたしももうちょっと寝かせてもらいます」
返事の代わりに寝息が聞こえてくる。わたしはベッドルームに入って行った。
ロングコートを脱ぎ、畳んで床におくと、手持ちのかばんの中を漁った。
「あった。入れといてくれたんだ」
そこには実家で見つけた鍵付きの日記帳が収まっていた。
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