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月城は冷蔵庫を開け、中身を確認しているようだった。
「鍋、って言ってたよね? 鳥団子入れるつもりだったのかな。鳥のひき肉がある」
「あいつにそんな高度なもんが作れるかよ」
そこで月城はちょっと笑った。
「仲いいね」
「別に普通だろ」
「鳥団子作る。ベースの味は何が好き? ざっと見た感じ、水炊きか、豆乳鍋かな。あ、キムチとコチュジャンがあるからチゲ鍋もできる」
「マジか。俺、辛いの、好き」
「じゃあそれにしよう。ねえ、粉唐辛子とかって、ある?」
「そんな本格的なもんはない。一味でいいか?」
コチュジャンだって、半年くらい前に友達数人が来て宅飲みした時に買って、それ以来使っていない。その時に男友達が何かのタレに使っていた。
「一味で充分! 普段、作ってはいないみたいだね。あれだけ忙しいもんね。ご家族が心配するはずだよ。夕凪ちゃん、ママが心配してるって言ってたもん」
冷蔵庫の中にいくつも積んである宅配食の箱を手に取り、それに視線を落としている。
「まあな。ひとりだと作る気も起きないし」
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