◇◇村上健司◇◇ 約束

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    月城は冷蔵庫を開け、中身を確認しているようだった。 「鍋、って言ってたよね? 鳥団子入れるつもりだったのかな。鳥のひき肉がある」 「あいつにそんな高度なもんが作れるかよ」  そこで月城はちょっと笑った。 「仲いいね」 「別に普通だろ」 「鳥団子作る。ベースの味は何が好き? ざっと見た感じ、水炊きか、豆乳鍋かな。あ、キムチとコチュジャンがあるからチゲ鍋もできる」 「マジか。俺、辛いの、好き」 「じゃあそれにしよう。ねえ、粉唐辛子とかって、ある?」 「そんな本格的なもんはない。一味でいいか?」  コチュジャンだって、半年くらい前に友達数人が来て宅飲みした時に買って、それ以来使っていない。その時に男友達が何かのタレに使っていた。 「一味で充分! 普段、作ってはいないみたいだね。あれだけ忙しいもんね。ご家族が心配するはずだよ。夕凪ちゃん、ママが心配してるって言ってたもん」  冷蔵庫の中にいくつも積んである宅配食の箱を手に取り、それに視線を落としている。 「まあな。ひとりだと作る気も起きないし」
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