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俺や夕凪がやったら、動画アプリで手順を知るところから始まり、二時間はかかりそうな作業が二十分で済んでいる。
俺はキッチンに入り、頼まれたものを全部用意して月城に渡し、チゲ鍋をローテーブルまで運んだ。
チゲ鍋の他には、水菜を使ったチョレギサラダも用意されていた。
俺が蓋を開けようとすると、月城は咄嗟に両手をパーの形にして差し出し、静止させる。
「待って! あと十秒」
「ん?」
少しの間、鍋を見つめていた月城は、ミトンをはめて土鍋の蓋を開けた。向こう側が見えなくなるほどの湯気とともに、香辛料のいい香りがぶわああーっと立ち上る。
見るとオレンジ色のスープの真ん中に、芸術的なまでに完璧な半熟卵が乗っていた。
「うーまーそー!」
「お口にあうと、幸いなんだけど……」
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