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だけどこんな大企業で副業がOKなものだろうか。いや……。
時代の潮流として副業は認められる方向に動いている。
だとしたら。こっちの名刺は月城のプライベートな情報? 携帯の番号にメールアドレス。
電話……してもいいだろうか。
何年も会っていないとはいえ、小学生時代、俺たちはそれなりに仲が良かったと自負している。月城だって俺の名前くらいは覚えているはずだ。
気がつくと俺は蔓草模様の名刺の電話番号を、自分のスマホに打ち込んでいた。
今朝の夢の続きかと思うくらい、めちゃくちゃに心臓が高鳴っている。
なんだこれ? どうしたってんだ? おかしくないか?
確かにかつて俺は、月城のことが自分で認識していたよりもさらに好きだったらしい。そのことに卒業して会えなくなってから気づいた。
とはいえ、別に十数年彼女を引きずって暮らしてきたわけじゃなく、幾つもの真剣な恋愛を経て、今に至っている。
それがこんな……。
「はい。月城です」
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