307人が本棚に入れています
本棚に追加
「そう……なのかな」
「料理が好きになってたなんてな。人ってわかんないな。いつからやりだしたの?」
「中学……かな。好き、っていうか……。めちゃくちゃ嫌いではないかもしれない。食べてくれる人がいれば作ったかいもあるし」
「叔父さんの家に行ってからってことだよな?」
月城は視線を小刻みに左右に揺らし俯いた。
苦労したんだな。と、思う。手際の良さから考えても、かなりの頻度でやっていたはずだ。強要されたわけじゃないのかもしれないけど、無賃で置いてもらうことに対して、無茶苦茶な負い目があったはずだ。月城の性格なら。
それにしても、実家で思い入れのある日記を見つけることができ、それを読んでからというもの、月城は驚異的なスピードで昔のことを思い出している。
漫画やドラマと違うじゃんか。
今まで、どれだけ昔の記憶から遠ざけられて育ってきたんだろう。
「月城、あのさ」
「ん?」
箸を口元で止めて、月城は首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!