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「えっと、さ。いろいろ思い出したんならさ。俺のことって……」
「……」
「……やっぱいいや」
まさか日記に俺のことが書いてあるわけはないし、かといって「思い出せない」と現実を突きつけられるのはかなりきつい。
「……思い出したよ。村上」
「えっ!」
「……くん」
「ほんとに? いや思い出したなら、当時のままの呼び方でいいだろ。今さらくん、つけるなよ」
喜びの稲妻が胸に落ちる。俺を、思い出してくれた?
「ものすごく複雑なんだもん。当時の記憶もあるけど、やっぱりうちの会社の副社長としての記憶もあるし。あと、思い出せないけど同級生だって事実だけは知ってる、ってあの短時間の記憶も重いの」
「ふうん。でもこれからは、村上、でいいだろ。プライベートの時は」
「ハードル高いって」
「仲良かったんだって」
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