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「うん。仲良かったよね。わたし、何やってんだろうね……。ほんとに申し訳ありませんでした」
月城は崩していた脚を揃え、両手を膝の上に乗せて俺に深く頭を下げた。
「いやいい! マジでやめて、そんなことすんの! 月城がしてきた苦労に比べたら俺なんて……。それにもう月城の実家ですでに頭下げられてるから!」
中学二年で、クラス会に来なくなってしまった月城。
もともと月城は四年生の時にうちの学校にきた転校生で、親は転勤族だった。
親の転勤だろうな、と諦めてしまわず、ちょっと調べてみれば良かった。
実際何もない状態でそんなことをしたらただのストーカーだから、今になってしかそんなふうには思えないけれど。
せめて事故に遭ったという噂でも聞いていれば……。
それも無理なのだ。本人が記憶喪失になっていたなら、当時仲良くしていた友達も、みんないきなり連絡が取れなくなって、どうすればいいのかわからない状態だったに違いない。
そして本人は入院し、退院後は叔父さんの家だ。月城の実家に訪ねて行っても誰もいない。
荒れていく月城の実家を見ながら、彼女の友人たちは夜逃げかも、とか悲しく感じていたのかもしれない。
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