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だけどどうしてもその〝叔父さん〟って野郎をぶっ飛ばしたい気持ちがむくむくと湧く。冷静になれ。
実際、月城が中二から育ててもらった過去を、なかった事にはできないのだ。
「全部、頼ってほしいよ。だけどまだそんな気にはなれないと思う。でもこれだけは教えてほしい。どうしてCanalsを狙った? 叔父さんになんて言われたんだ?」
「それだけは……ちゃんと話さなきゃね」
「できれば、詳しく聞いてもいいか? これは俺だけの問題じゃない。Canalsの存続に関わることだ。叔父さんの家に引き取られてから、Canalsの情報を流出させようとした経緯まで」
月城は少しの間、俯いて黙り込んでいた。
「そうだね。村上くんが、わたしの記憶の扉を開いてくれたんだもんね」
「思い出したなら、昔と同じように〝村上〟って呼んでほしい」
「うー……。ハードル高い」
「二人でいる時は同級生だよ。力になりたいのが本音なんだよ」
「……ありがとう」
月城は、しばらく膝に視線を落とし、何から話そうかと頭の中で整理しているように見えた。
その後、ぽつぽつと話し始める。
引き取られた叔父さんとは、月城の父親の弟で、中堅の会社を経営する事業者、オーナー社長だから資産はある人らしい。
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