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勉強に関しては、なぜか遅れを取り戻すことがそこまで難しくなかった。
以前の中学での成績は、悪くはなかったらしい、と月城は語った。
小学校時代からの推測、そして卒業した国立大を考えても、悪くなかった、ではなく、相当良かったんだろう。
叔父さんが強く望んでいることを肌で感じ、勉強も限界まで頑張った。将来は叔父さんの会社を支えてほしい、とも告げられていたから。
月城にとっての十二年は、ひたすら育ててくれた〝叔父さん〟に感謝するための時間だったのだ。
「実家が焼失した、ってことはうちの親の生命保険とか……後見人の叔父さんに入ってないってことだと思ってた。実際そうみたいだし。なのに、大学の学費まで出してもらった。妹の闘病にかかる費用も。あと、これはわたしが、どうしても、ってお願いしたんだんだけど、妹の通信制の高校の学費も出してもらってる。うつ病が完治した時に、生きていくために必要だと思ったの。妹はどうにか通信制高校は卒業した。高校の卒業資格、就職するのに大事でしょ?」
「そうだな」
理系に進んで、プログラミングの技術を取得してほしいと望まれ、大学は国立の理系、情報関係の学部学科に進んだ。
それは興味もあったし、好きでもあった。
でも、できれば精神科の医者になって、妹のうつ病を治したかった、とも漏らした。
心のうちでは第一志望ではなかったわけだ。
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