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「で、大学を卒業してから叔父さんの会社で働き始めた。中規模の大学受験用の進学塾」
「中規模の進学塾……」
ついに繋がってきたな。
「叔父さんはCanalsを傘下に入れたがってた。どうしてそこに固執するのかわからなかったけど、確かに調べてみたら魅力的な会社ではあった。でもわたしにしてみたら、Canalsは叔父さんの手に余ると思ってた。Canalsのほうがずっと革新的で、エネルギッシュだもん。成長だって指数関数的な伸びでしょ? それを吸収合併なんて無理だと思った」
「でも、どうしても欲しかったってわけだな、うちの会社が」
「そう。どうしてなのか、聞いてみたの。そうしたら、あの会社の副社長がお前の父親、わたしの兄を殺した男だ。だからどうしても傘下に入れたいって、当時の新聞記事と、裁判記録を見せてくれた」
「なるほどな」
「歳が二つ違っているのは、無免許運転で事故を起こした過去を隠すためだって説明された。確かに裁判記録の名前と、Canalsの副社長の名前は一致してたから。歳も近かった。もっとちゃんと調べれば、わかったのかもしれないのに、わたし、頭に血がのぼったっていうか……」
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