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今は月城を苦しめるものと戦うだけの力はある。いや、なくたって戦う。
「Canalsの内部事情は、口が裂けても喋らない」
「そういうことじゃない!」
俺の思いのほか大きな声に、伏せられた月城の肩がびくりと揺れる。
「ごめん。気が昂って……。でも俺は、Canalsの事とはまったく別で、純粋に月城が心配だ。助けたいんだよ。だから、頼むからこのまま叔父さんのところに戻ることは、しないでくれよ」
もういっそ好きだと打ち明けてしまいたい。
けれどのど元まで出かかる言葉をすんでのところで飲みくだす。拒絶されてしまったら、もう俺は何もできなくなってしまうからだ。
そう……。俺はこんなにも月城のことが好きだったのだ。小学校の時の初恋とは別に、たぶん、再会したあの日から。
きっと俺は何度この子と巡り会っても、月に引き寄せられる潮のように繰り返し惹かれる。
恋をする。
「俺にも、恩はあるはずだよな?」
「……え?」
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