◇◇月城一颯◇◇ 夜走

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 「月城、どういう……。俺行かないと」 「わかってるよ。でもあてがないのに闇雲に探しても見つからないよ。わたしが必ず見つけるから!」 「は?」 「こっち。四十二階でやろう」  やっと来た上方階行きのケージに村上くんのダウンジャケットの袖を引いて乗り込む。 「多目的ルーム? 何を……あっ!」 「夕凪ちゃんのスマホのデータ、ありったけ出して。メールアドレスとか、電話番号。ラインとか他のSNSも。知ってるのは全部」 「了解」  エレベーターの中で村上くんは自分のスマホを操作している。 夕凪ちゃんのデータに関するものを、片っ端からスクリーンショットに撮っているようだ。  エレベーターから降りたわたし達はCanalsの多目的ルームに走った。IDカードで開けると、すぐ近くの長机にパソコンを載せ、腰を据える。 「これ、夕凪のスマホのデータ。メアドとか諸々。さっきスクショした」  スマホの写真画面を何枚もスライドさせてわたしに見せる。 「これだけあれば、すぐだよ」
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