◇◇月城一颯◇◇ 夜走

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 親への電話を終えた村上くんがわたし達の近くにしゃがむ。 「今、男の顔、見たくないんだけど」 「なんだと? それがこの夜中に仕事抜けてここまで来たお兄様に向ける言葉か!」 「なんで場所がわかったんだろ? お兄がデジタル統括とかやり始めたから、わかるの? なんか無駄にITに詳しくなっちゃって」  酔っているせいかそこを深く追求しないでくれるのはありがたい。 「夕凪ちゃん、たぶん、この間わたしが行きがかり上、村上くんの家に行った時、きっとお兄さんに話したいことがあったんだよね? ごめんなさい。わたしがいたから……」  夕凪ちゃんはわたしの言葉を聞いて目をまんまるにした。 こんなに可愛い子を振るってどういうやつ? 「月城さん、あんな短い時間であたしの考えてることわかったんですか? すごいかも。でもどっちにしろ、あの時にはもう結果は覆らなかったんですよねー」
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