◇◇月城一颯◇◇ 夜走

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「だいぶ前から二股されててさぁ」  と夕凪ちゃんは酔った口調で機関銃のように話し始めた。 わたしはほぼ口を挟まず、夕凪ちゃんの話に耳を傾けた。顔はいいらしいけど、だいぶクズな男だ。 「……今は辛いと思うけど。ごめんね、刺さったら。でもやめてよかったと、思う。お兄ちゃんだってそう思うよ」 「そうだ! そんなやつは夕凪に似合わない!」 夕凪ちゃんの頭の上に厚手の毛布が落とされる。 「それ一枚しかないから二人で仲良く被れよ」 「はーい」 「寒いもんねー」 わたしは色々種類のあるお酒の中からまた日本酒を手に取った。 「月城さん、入って」 「うん」  二人並んで毛布に入る。 なんだかお腹の辺りがぽかぽかしてきてくれたのは、日本酒の効能だろうな。ふわふわしていい気持ちになる。 日本酒って、この間、村上くんが持っていたものを初めて飲んだけど、体に合うのかも。
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