◇◇月城一颯◇◇ 夜走

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「月城さん、相当酔っちゃいましたよね? 早いって! めっちゃ経済的な人だなー」  酔ってる? わたしお酒強いもん。 「ぜーんぜん。あとねー育てられた叔父さん、わたしにすこーしは愛情があると思ってたのに、ぜんっぜんだったんだよ。夕凪ちゃんはご両親も心配してくれるし。お兄ちゃんも心配してる。夕凪ちゃんがいなくなったって電話もらったら、五秒で荷物持って部屋から飛び出してきたんだよ」 「……ガラス張りだから見えてるんじゃないですか。めちゃくちゃ見てるじゃないですか」 「違う。見てない」 「いや」 「でもほんとすごいんだから! 車の運転も焦りまくってて。お兄さんにあんなに思われてる夕凪ちゃんが羨ましい。……寒いね」  わたしは砂浜に転がっている日本酒のワンカップを拾って開け、一気にあおる。これはぽかぽかする。 「……月城さん、叔父さんに育てられた、って、その……ご両親は?」 「亡くなったの。中二の時、事故で」
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