◇◇月城一颯◇◇ 夜走

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「違うよ。そこまでの部分は! 一緒なの! 真逆なのは……統率力とか、うーん……男性的な魅力的な、頼りがい的な……そういう系統」 「うわ! 月城さん、素直―! それ、結構な褒め言葉ですよ? 気づいてるかなーこの人」 「でー! 息子はー、次の経営者だけどー、そのサポート役に白羽の矢が立ったんじゃないかなー、わたしが。わたし達が事故にあった時、息子は登校拒否で、将来の塾経営に適してるとは言えない状況だったんだよね」 「やめた方がいいですよ、そんな人と結婚するの。親が白羽の矢を立てるなんて、顔だけよくても相当モテない男でしょ? 自力で結婚できないってことでしょ? お兄の方がいいって! お兄が好きなんですよね?」 「違う」 「酔いすぎ、月城さん」 「面倒見てた時期が長いせいかー、弟みたいに思えちゃってさ。努力しても努力してもぜんっぜん恋愛感情がー湧かないの。だけどほら、育ててもらったから恩もあるし、何より本人に、とっても情はあるんだよね。弟みたいで。だから結婚はしないといけなーー」 「いくら恩があったっておかしいですって、そんなの。恋愛は努力してするものじゃ、なああーい!」 「二葉(ふたは)を……妹を救わないと。わたしよりずっと辛い思いしてるんだもん。入退院の繰り返しで、その費用も払ってもらってるし。受けさせたい治療プログラムもあるんだ」 「だからって、月城さん……」
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