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「わかりました」
「送られてきた書類に書いてあったことだけ共有しておく。向こうはバックに東欧塾をつけた」
月城が息を呑む。
驚くよな。東欧塾は進学塾の大手だ。
どうして品川アカデミーごときと提携が成立するのかわからず、そこが不気味だ。
なんのカードを切ってくる?
数日ののち。
品川が我が社の四十二階応接にやってきている。息子だという俺と同年代のえらく綺麗な男を連れている。
こっちは月城と二人だ。合計四人。普段はこの応接専用の給湯室からコーヒーを運んでくるが、こいつにはそんなもの必要ない。
「こちらはうちの専務、ひとり息子です」
「初めまして。品川洋太と申します」
品川洋太は立ち上がり、俺に両手で名刺を差し出してきた。俺もそうする。名刺交換だ。
「わたしの姪、月城一颯の婚約者ですよ」
横から品川が口を出す。
こいつが……月城の婚約者。
「それは今回の件に関係がないでしょう」
俺はできるだけ感情を出さずに一蹴する。品川と息子の洋太は面白くなさそうに月城に視線を流す。
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