◇◇村上健司◇◇ 根源

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 「わかりました」 「送られてきた書類に書いてあったことだけ共有しておく。向こうはバックに東欧塾をつけた」  月城が息を呑む。  驚くよな。東欧塾は進学塾の大手だ。 どうして品川アカデミーごときと提携が成立するのかわからず、そこが不気味だ。 なんのカードを切ってくる? 数日ののち。  品川が我が社の四十二階応接にやってきている。息子だという俺と同年代のえらく綺麗な男を連れている。 こっちは月城と二人だ。合計四人。普段はこの応接専用の給湯室からコーヒーを運んでくるが、こいつにはそんなもの必要ない。 「こちらはうちの専務、ひとり息子です」 「初めまして。品川洋太と申します」  品川洋太は立ち上がり、俺に両手で名刺を差し出してきた。俺もそうする。名刺交換だ。 「わたしの姪、月城一颯(いぶき)の婚約者ですよ」 横から品川が口を出す。 こいつが……月城の婚約者。 「それは今回の件に関係がないでしょう」  俺はできるだけ感情を出さずに一蹴(いっしゅう)する。品川と息子の洋太は面白くなさそうに月城に視線を流す。
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