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「入っても平気?」
「いいよ。オーケー」
すぐ返事が戻ってくる。
両親の部屋に入ると、村上くんは、ローボードの前で腰をかがめ、それを観察していた。埃の積もり具合だろう。
「月城がさ、借り上げ社宅に移ってから、ここに人が入った形跡、あると思う」
村上くんがローボードのあたりを指差しながら左右に腕を動かした。
「人が触ったっぽい?」
「おう。このへんとかな」
「そうなんだ。でもこっちも進展するよ。出し抜く!」
「出し抜く? 叔父さん達を?」
「そう。今日はねー、すごいものが見つかる予定なんだよ!」
「え?」
「じゃーん!」
わたしが親指と人差し指に挟んで村上くんの目の前にかざしたのは、小さな鍵だ。
「えっ! これって」
「そう。タンスの抽斗の鍵だよ。鍵付きの日記帳に挟まってた。あの日記帳の鍵は無くしたんだよね」
「そんなとこに……」
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