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拗ねた口ぶりをするとまたわたしを抱きしめる。
今度はセーターがめくりあげられ、あっという間に首から抜かれる。
気づけば協力する体制を作っていたわたしもどうかと思う。
村上くんはほぼ片手で自分のセーターと肌着を、一緒くたにして首から抜き取った。
服を脱ぎながら、競るように抱き合い、わたしと一緒にベッドにもつれ込んだ。
なんだか安っぽい映画のワンシーンみたいで笑いが漏れる。
「なんで笑うんだよ」
「いや……。こういうの、ほんとにあるんだな、って」
「俺だって初めてだよ。こんなの」
喋る間も彼の手は止まらずに動いている。
すでに彼は上裸で、筋肉だけの硬い胸板が目の前にある。
自分のベルトのバックルを操作しながら、わたしのシャツのボタンを片手で器用に外していく。
ヘッドランプだけが灯る淡い柿色の室内で、わたしは村上健司に抱かれる。
急いたキスが体中に降り注ぐ。
切なさを通り越していっそ哀しみと表裏一体の快感に、強くシーツを握りしめるわたしの手を、彼は自分の背中に誘導した。
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