◇◇村上健司◇◇ 悔恨

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涙が込み上がってくる自分の対処方法がわからない。 好きな女の前で涙を見せたことはなく、今、そういう状況であることに動揺し狼狽(ろうばい)する。  これって俺なのか? 「泣・い・て・る!」  ベッドの上の方にずり上がってきた一颯に、頭を抱え込まれる。 その肌の香りとぬくもりに、さらに涙が込み上げ、もう観念した。 「……俺が性急に求めたせいで、一颯が傷ついてるから。俺の気持ちじゃなくて、一颯の気持ちを一番に考えられなかった」 「自分の気持ちに押さえが効かなかったのは、わたしだって同じだよ」 「でも、一颯はこうなったことに、後ろめたさを感じてる」 「……それは……」  嘘をつくのが苦手な一颯は口ごもる。 「大事にする。一颯の大事なものは俺も一緒に大事にするよ。二葉ちゃんも……洋太さんも」 「洋ちゃんも?」  そこで一颯が身じろぎをし、俺の顔を覗いてくる。 泣き顔を見られるなんて耐えられなくて、一颯の肩口に頭を突っ込む。
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