◇◇村上健司◇◇ 悔恨

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自宅マンションまで戻り、地下にある専用駐車場に入れようと減速した時、その入り口の下り坂中央に、ふらりと人影が出てきた。 俺は慌ててブレーキを踏む。 「何してんですか、危ないですよ」  ウインドウを下げ、入り口を封鎖するように立ち尽くす人影に向かって、叫ぶ。 まだ若い男性のようだ。 「こんばんは、村上副社長。いや村上健司さん」 「えっ?」  樹木の間に設置されたライトだけの深夜の暗闇で、自分の名前が呼ばれて驚く。 その後、人影が開いたウインドウの近くに立つ。 「ちょっと話しませんか? 村上健司さん」 「品川、洋太さん……」 「すぐ近くのデニーズで待ってますよ。車、入れてきちゃってくださいよ」  歩いて二分のところにあるファミレスを指定された。  洋太を車に乗せてそのファミレスにいくこともできたが、一颯が今さっきまで座っていた助手席に洋太を乗せることに抵抗があった。 俺は了承の返事をすると、いったん車を車庫に入れ、洋太が待つ、ファミレスまで歩いた。 洋太は入り口近くのわかりやすい場所で俺を待っていた。
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