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「一颯ちゃんが二葉ちゃんのうつ病を気にしてるのを知ってますよね?」
「はい」
「家族旅行の時、パーキングエリアで、後部座席の左右を変わってしまったから、二葉ちゃんは母親の死の瞬間を目の当たりにした。一颯ちゃんはそれをとても悔いている。どうして彼女は、そんなことをしたと思います?」
「どうしても興味を惹かれるものが、その先の高速から見えるって知ってたんじゃないですか?」
「村上さん、一颯ちゃんと小学校が一緒ですよね? 僕は父と違ってタンスの金庫なんかに興味はない。一颯ちゃんの実家がまだあるって知って、それを見つけた時、彼女の部屋だけは見に行った」
「まさか……日記を盗み読みしたんじゃ……」
「日記? そんなのあったんですね。あったとしたってそこまでの彼女のプライベートを勝手に暴いたりしませんよ。どんな部屋で暮らしていたのか、純粋に興味があっただけ。その部屋には、記憶を失っている好きな人の情報が詰まっている」
日記に気づいていないのか。
この人の言い分を信じるなら、抽斗を開けたり、クローゼットの中を覗いたり、そこまではしていない?
俺は胸を撫で下ろした。
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